カツ丼に想う

カツ丼というのは、これはこれで奥の深いものだとつくづく思う。
東京地方でカツ丼といえば、ハムカツに毛の生えたような薄いトンカツと玉ねぎを丼つゆで味を付け、卵で閉じた物をいう。
ちょっと高級になると、グリーンピースやかまぼこ、三つ葉などが彩りを添える。
百貨店の大食堂なんかはこのタイプだな。
日本全国どこでもカツ丼を頼めばこれが出てくるかというとそうでもないから面白い。
「カツ丼にビール!」と頼んでも、所によって出てくるものは様々だ。
私は旅行に行くと、必ず土地のカツ丼を食べる。
旅行に行ったときくらい、土地の名物を鱈腹食せば良さそうなものだが、まぁ、それは旅館でたっぷり御馳走になればいいだろう。
私が初めて異形のカツ丼と出会ったのは、小学生時代に祖母の病気見舞いに山梨県甲府に行った時だった。
山梨第一の都市である甲府の寿司屋さんで、何故かメニューにあったカツ丼を頼んでみた。
丼のふたを開けると、ご飯の上にキャベツが敷き詰められ、その上にトンカツが乗っているという今までに見たことも無いカツ丼であった。
不審に思ったが、きっとこれが山梨のカツ丼なのであろうと、トンカツにソースをかけて一口、二口食べてみる。
つゆではなくソースの染み込んだご飯を初めて食べてたのだが、これがなかなかうまい。
甲府には一週間ほど滞在したが、毎日カツ丼を食べていた。
今考えれば贅沢をしたものだ(笑)
後で知るのだが、山梨では東京で言うところのカツ丼は「煮カツ丼」というそうだ。
今でも、富士山や八ヶ岳など山梨には良く行くが、必ずカツ丼を食べることにしている。
ゴールデンウィークの最中、家人がそれぞれ出かけた家で、一人肉屋で買ってきた薄いトンカツを昼の残りご飯に乗せて食している。
「オレも一緒に連れてってくれよ!」